遺言書に家族へのメッセージが書ける? – 付言事項 –

コラム遺言

こんにちは。行政書士の中川です。

遺言書というと、形式がしっかり決まっていて余計な事を書くと、法的効力がなくなってしまったりしてせっかく書いた内容が台無しになってしまうんじゃないかっていうイメージありませんか?

遺言書の法的効力を持たない部分

確かに、法定遺言事項といって、遺言の主たる部分、つまり遺産の分割方法とか子の認知についてはしっかりとした書き方が要求されるのは事実なんですが、それとは別に、法的効力を持たない付言事項っていうのが存在するんです。

つまり、遺言書の中に遺族に対する感謝の気持ちとか、遺言内容を決めた経緯とか、葬式に関すること、臓器移植に関することなど遺言自体の補足や死後の様々な処理について自由に書き残しておくことができるというわけです。

付言事項の書き方

遺言書の中の法的効力を持たない部分はすべて付言事項として扱われるのですが、通常は法定遺言事項をすべて書き終えたら最後に「付言事項」という見出しをつけて、その下に内容を書いていきます。

付言で遺留分の放棄を依頼する

法定相続人と言われる、法律で決められた遺産を相続する権利のある人たちがいます。例えば、残された遺族が母、子2人だったとすると、母が遺産の2分の1、子それぞれが遺産の4分の1ずつを相続する権利を持っています。こういったケースで、亡くなったお父さんが「母にすべて相続させる」という内容の遺言を残していたとすると、子2人の相続権はどうなるでしょうか。実は「遺留分」といって、最低限の遺産取得権が法律で定められています。世の中、「愛人に全て」なんていう遺言を残す人だって居かねません。そんな極端な状況から相続人としての権利を守るためなんですね。というわけで、前述の親子のケースだと、子それぞれ、本来の4分の1から半分に減らされはしますが、8分の1ずつを相続する権利が保証されているんです。

遺留分は法律上の権利です。子どもたちが遺留分を主張したら、故人の遺言内容とは関係なく母は従わざるを得ません。そこで、「こうこうこういう理由でどうか遺留分は請求せずにお母さんに遺産をすべて譲ってほしい」という希望を付言事項に書くことで、遺言書の内容に従ってもらうよう促すことができるんです。もちろん、これも法的効力を持たないので、無視されてしまえばそれまでなんですが、しっかりと理由が書かれた肉親のメッセージに触れればわかってもらえるケースも増えるんじゃないでしょうか。

最後に

遺言は実行してもらえなければ意味がありません。遺留分のように、ときには法律上の権利を放棄してもらいたいときだってあります。そんなときにも感謝の気持ちや残された人たちの思いを付言事項として残すことで、多少なりとも影響力をおよぼすことができるのではないでしょうか。

本年のコラムはこれが最後になりそうです。それでは皆さん、良いお年を!

 

Posted by Kentaro Nakagawa